A4000T 修理記録 (Paula 故障編)

$Date: 2002/03/07 02:20:51 $

ある朝突然に...

[いんちき 3 ボタンマウス] 先日、自宅のメインパソコン、Amiga 4000T が起動しなくなりました。 どうやら、マウスの右ボタンに静電気がとんだのが原因のようです。
現在使っているマウスはサンワサプライの PC-9801 用 2 ボタンバスマウスに、 強引にボタンを付け加えて、ピンアサインを入れ換えて、 Amiga 用 3 ボタンマウスに仕立てあげた物です。
[右ボタン拡大図] そのため、右ボタンのスイッチの電極が外に露出しています。 マウスに触れた時、この電極と指の間で静電気がとびました。

さて、どうしよう。 少し悩みました。メインで使っているパソコンです。 いろいろデータと思い入れがつまってます。 新しいパソコンを買うにしても、今どき Classic Amiga というのも... かといって、IBM PC 互換機は使う気になれないし。

やはり、直すしかない!!

真の Amiga 使いならば、自分の Amiga が故障した時、決してメーカー送りにせず、 基板まるごと交換などもったいない、ましてやあきらめるなど論外、 半田ごて片手に、故障したチップのみを取り換えるはずだ!!
単に、メーカーが当てにならないからという説もあるけど.. 大体、今だとどこに送ったら良いのか良くわからないし。
というわけで、自分で直しました。


家の A4000T の症状

実は、起動しなくなる前から少々調子が悪くなっていました。 でも、大抵の処理には問題なかったのでほったらかしでした。
その症状はというと...

そして、マウスに静電気をとばした後では...


故障箇所の推定とその解説

私は、今回の故障は「Paula が逝かれたためである」 と推定しました。

Amiga の主な構成要素は、 大雑把に言うと、CPU、ChipRAM、FastRAM とそれらのコントローラー、 そして Custom Chip です。
AGA Amiga である A4000T では、Custom Chip として、 Alice / Lisa / Paula / 8520 CIA が使われています。

CPU や Gary(ChipRAM 管理?) や Bridgette(DRAM controller?) が おかしくなったのならば、全く動かなくなりそうですので、 これらは故障はしていなさそうです。
また、起動時チェックでメモリ異常 (緑の画面) が出た事が無いので、 Fast/ChipRAM 異常も可能性が低いと見ました。
となると、故障箇所は他のカスタムチップか、その他のディスクリート部品です。 A4000T ではカスタムチップ以外の IC はほとんどのっていませんし、 目で見てわかるような抵抗の焼損はありませんでした。 もちろん、爆発したコンデンサもありません。 やはり、Custom Chip が一番怪しいです。
それぞれの Custom Chip の機能は、大体次のようになるみたいです。

Lisa
Video Controller, Spliteの一部, Game/MousePort の一部, ZorroBus 管理
Alice
CRTC, Blitter, Copper, Spliteの一部
Paula
Sound, Sound/FDD 用 DMA, Game/MousePortの一部, IntervalTimer?
8520 CIA
Pallarel, Serial, FDD の制御線

このうち、一番よく壊れると言われているのは 8520 CIA です。 確かに CIA は FDD の制御も請け負っているのですが、 CIA が壊れると、Serial や Parallel もおかしくなるはずです。 したがって、CIA では無いようです。
また、Video 周りの不具合は一切無かった事から、Alice や Lisa も大丈夫そうです。

となると Paula です。

直前までの Sound / FDD 関係の不具合は、 Paula がおかしいとすると、辻褄があいます。 (31kHz モードだと DMA がうまく動かないということ?)
また、マウスの右ボタンは、Paula に直結 されているようです。 (Port アサインからの推察 + 実際にテスターで回路を追って確認)
以上から、Paula が逝ってしまったと断定してよさそうです。


修理手順

  1. Paula の入手
    AGA Amiga の Paula は、 PLCC タイプです。 SoftwareHut から購入しました。$42.95 でした。 安いからって、標準の DIP タイプを買ってはいけません。

  2. A4000T の解体
    何回も行ったので、もうなれました。 Mother Board を取り出します。

    [CyberStorm Mk.III]
    ちなみにこれは CPU Board。CyberStorm Mk.IIIです。 ファンのしたに 68060 が刺さっています。 本来はCPU ファンはいらないのですが、 クロックアップしたのでなんとなく付けてみました。 右上の銀色の物は Cristal Module。 メモリと干渉するのでこんな場所にしました。
    [A4000T Mother Board]
    Mother Board。部品が少ないです。
  3. 壊れた Paula を外す。
    PLCC の直付なので、簡単には外せませんでした。 仕方が無いので、ニッパーで足をぶった切って外す事にしました。 はっきり言って強引です。基板を傷つけないように注意。 パターンを切ったりしたら目も当てられません。
    [CustomChip 周りの拡大図]
    真中の小さめの石が Paula です。右上は Alice、下にあるのは Lisa。
  4. パターンを (半田吸い取り線などで) 綺麗にします。
  5. 新しい Paula を付ける。
    表面実装ですが、足のピッチが広いので、結構簡単です。
    Paula をパターン上に置いた後、 始めに四隅の足だけを付けて、 ゆがんでいない事を確認した後に一辺ずつ半田づけすると楽です。

    [Paula取り付け後] と、隣にある大きな電解コンデンサが邪魔だった ので、一旦外してしまい (うまく半田が抜けなかったので、もぎ取って)、 Paula の半田づけが終った後で、新たにコンデンサを付け直しました。
    同容量の手持ちが無かったので、220uF を 2 個並列です。 (元々付いていたものは 470uF。たぶん、キーボードの電源安定化用なので、 厳密に同容量でなくても支障は無いはずです)

  6. そして、組み立てます。
    電源をいれて、起動する事、不具合が無くなった事を確認しました。


その後...

Paula を交換した事により、今まで出ていた不具合が全部無くなりました。
SoftwareHut に Paula を注文するついでに CyberVision 64/3D も買ってしまったので、 グラフィック周りが速くなって非常に快適になりました。 ArtEffect 3 も手に入ったので AmigaOS を使う時間が増えそうです。

これで、Amigan を名乗る事が出来そうだ !?


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MURAMATSU Atsushi / 村松 篤 (amura@tomato.sakura.ne.jp)