■ 貧乏人のためのCG講座 CG知識編

■ 色の指定方法

 多くのお絵かきソフトでは、好みの色を指定するのにいくつかの方法を用意しているのが普通です。「色の指定方法」といっても、それこそ色々な(笑)方法がありますが、最もよく使われているのは「RGB方式」、「HSV方式」(HSB方式、HLS方式)、「CMY方式」(CMYK方式)の3つの方法です。

 ■ RGB方式

 パソコンを使っている人にとって一番なじみがある色の表し方でしょう。これは「赤(Red)」、「緑(Green)」、「青(Blue)」の光の三原色の混合比によって色を指定する方法です。CRTなどのディスプレイ自身、R,G,Bの3色の画素の明るさを変えることでカラーを表現してますので、その意味ではパソコンとの親和性が最も高い色の表し方といえます。

 現在の多くのパソコンではR,G,Bそれぞれの値は0〜255までの範囲(16進数で言うと00〜FFまでの範囲)で1刻みに変化させることができます。つまりRGB方式では256×256×256=1677万色を指定することができます。俗に「フルカラー1677万色」と言われているのはこれのことです。

 この方法はパソコンの持つ色の表現力を最大限に発揮することが可能ですが、「直感的に分かりづらい」という欠点もあります。例えば黄色は(R,G,B)=(255,255,0)で表現できますが、「赤と緑を混ぜると黄色」というのは慣れてこないと案外分かりづらいと思います。一番簡単な原色の表現でさえこれですから、あとは推して知るべしでしょう(^^;

 ■ HSV方式

 普通の人が直感的につかみやすいのは、こちらの「HSV方式」(「HSB方式」ともいいます)の方だと思います。「HSV方式」は色を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(ValueまたはBrightness)」の3つの要素で表すもので、アメリカの画家マンセルが考え出した体系が元になっています。

 「色相」とは赤、黄、緑、青、紫といった色合いのことで、これによって色(正確には有彩色)を分類することができます。また、赤、黄、緑、青、紫を順に並べ 、最後に紫と赤をつなぐと輪ができます。これを「色相環」といいます(Fig.1)。環になっていることからも分かるように、色相は赤を基準に0〜360度までの間で変化させることができます。

色相環 Fig.1 色相環
 光の三原色である赤、緑、青と色の三原色であるシアン、マゼンタ、イエローを環の上に等間隔に配置し、間をつなぐと連続した色の輪ができます。これが色相環です。HSV方式では、基準色である赤から右回りに度単位で値を指定します。

 「彩度」は色の鮮やかさのことで、色味が増すほどこの値が高くなります。また「明度」は色の明るさのことで、黒が最小の値を取ります。これらの値は0〜100%までの範囲で変化させることができます。

 なお、HSV方式とよく似た色の指定方法に「HLS方式」というのがあります。これは色を「色相(Hue)」、「明度(Lightness)」、「彩度(Saturation)」の3つの要素で表すもので、基本的な考え方はHSV方式と同じです。ただ、明度や彩度の軸の取り方が異なっているので、その点は注意が必要です。うっかり同じつもりで操作すると、特に色調補正のときなど痛い目を見ることになりかねません(^^;

HSV方式とHLS方式
Fig.2 HSV方式とHLS方式
 この図はHSV方式とHLS方式の仕組みを模式的にあらわしたものです。HSV方式では、各色相ごとにもっとも明るい色を明度100%としています。また、彩度が下がるほど色は褪せていきます。一方、HLS方式では明度最大の点は白になっていて、各色相のもっとも純粋な色は明度50%のところに割り当てられています。また、彩度が下がるほど色はくすんでいきます。つまり、両者では「明度」や「彩度」の定義が異なっているのです。

 ■ CMY方式

 一番最初にお話したRGB方式が「光の三原色」に基づいた色の表し方だったのに対し、この「CMY方式」は「色の三原色」…すなわち「シアン(Cyan)」、「マゼンタ(Magenta)」、「イエロー(Yellow)」の混合比によって色を表すやり方です。

 紙に絵の具やインキを載せた場合、絵の具やインクは入射光の一部を吸収します。そして残った光は反射されて目に入り、色として感じられます。複数の色の絵の具やインクを載せれば、それだけ反射される色成分は減っていきます。このような色の重ね方を「減算混合」といいますが、CMY方式はこの考え方に基づいています。

加算混合と減算混合
Fig.3 加算混合と減算混合
 光の三原色(R,G,B)は全てを重ね合わせると、全ての波長の光が足しあわされて白になります。このような色の混ざり方を「加算混合」といいます。一方、色の三原色(C,M,Y)を全て重ね合わせると、全ての波長の光が吸収されて黒になります。これを「減算混合」といいます。
 ただし、実在のインキでは理論どおりの純粋な色のインキは存在しないので、C,M,Yのインキを混ぜ合わせても完全な黒にはなりません。これを補うために、実際の印刷現場ではCMYと別に黒(blacK)のインキも併用されます。

 シアンは赤い光を吸収し、マゼンタは緑の光を、イエローは青の光を吸収します。これがそれぞれRGB方式で用いた「光の三原色」の正反対の色だということにみなさん気づかれたでしょうか?つまりC,M,Yの混合比を変えるだけで、RGB方式と同様、様々な色を作り出すことができるのです。

 ちなみに…Fig..1の色相環を見ると分かるけど、C,M,YはR,G,Bのちょうど反対側にいるでしょ?こういう風に色相環の反対側にある色のことを「補色」って言うんだ。

 説明のときに紙とインキの例を出したように、このCMY方式は印刷と関係が深い色の指定方法です。というのも、商業印刷ではシアン、マゼンタ、イエローにブラック(blacK)を加えたCMYKの4種類のインキで色を表現するからです(ブラックの記号に「B」を使わないのは、Blueと混同しないようにするためです)。しかし、このことが逆にCMY方式での色の取り扱いをややこしいことにしている側面があります。

 例えば「D-Pixed」や「Pixia」はC,M,YをそれぞれRGB方式におけるG+B,R+B,R+Gとほぼ同等のものとして、単純に取り扱っています。ところが「Photoshop」や「Fanfare Photographer」ではそうではありません。これらのソフトは商業印刷への対応も考慮して作られています。そのため、C,M,Yの各色も実在のインキの色に合わせられているのです。考えればすぐ分かることですが、実在のインキは100%完全に特定の色だけを反射したりはしません。そのため、これらのソフトのC,M,Yはかなりくすんだ色合いになっていて、決してG+B,R+B,R+Gとは同じになっていません。また、表現できる色の範囲もRGB方式に比べて狭いものになっています。この点だけは注意が必要です。


 以上が主な色の指定方法です。とはいえ、絵を描く際には、どの方法で色を指定しても表示される色は結局RGB方式に変換されることなるので、その場に応じて使いやすいものを使えばいいでしょう。もっとも、CMY方式に関しては、RGB方式に輪をかけて分かりづらいので、直接使う場面はほとんどないとは思いますが(^^;



「貧乏人のためのCG講座」トップへ サイトトップへ