■ 貧乏人のためのCG講座 CG知識編

■ GIF・JPEGの特許問題

◆ 重要! ◆(2004年7月9日追記)
 下に詳しく書きましたが、GIFに関係する特許は2004年7月7日をもって、世界的にも完全に失効しましたので、以下のGIFに関する話題は現在すでに過去のものとなっています。しかし資料的価値という意味で、ここの文章は残しておきます(^^;

 256色以下の画像を保存するときによく使われるのが「GIF」(Graphics Interchange Format)というファイル形式です。この形式はもともと1987年にアメリカのパソコン通信ネットワーク「CompuServe」で提唱されたフォーマットで、65535×65535ドット、256色までの画像を扱うことができます。

 GIFは、CompuServeが仕様を無料で公開したこと、また、パソコン通信でデータをやり取りすることを前提に考えられたフォーマットなので圧縮率が高いことなどから、急速に普及していきました。インターネットの時代になってもその地位は揺るがず、例えばWebブラウザの元祖とも言うべき「Mosaic」ではGIFのみが標準の画像形式としてサポートされていました。

 これは余談だけど…「Mosaic」はイリノイ大学のマーク・アンドリーセンたちが中心になって開発したWebブラウザで、今のブラウザの原型とも言えるものなのね。当時はWebページを見ることを「モザイクを見る」って言ってたぐらいの大ヒットソフトだったらしいよ。

 で、のちにアンドリーセンたちは会社を作って新しいブラウザを作ったんだけど、これが何を隠そう、あの「Netscape Navigator」なんだよね。ちなみにNNの愛称の「Mozilla」ってのは、NNに「Mosaicを食っちゃうくらいの怪物」に育ってほしいってことで、Mosaicとゴジラをかけて命名されたらしいよ。


 ところが、1993年になって事態が急変します。実はGIFで使われていた「LZW(Lempel-Ziv Welch)圧縮法」というデータ圧縮技術はアメリカのUnisys社の特許だったのです。GIFに自社の特許技術が使われていることを知ったUnisysはCompuServeに対し、特許料の支払いを求めました。1994年6月、話し合いはCompuServeがUnisysに特許料を支払うことで合意に達し、年末にこのことが公表されました。これ以降、GIFを扱うアプリケーションはUnisysとの間でライセンスの契約を結ばなければならなくなりました。

 もっとも、当時Unisysは非営利のGIFアプリケーション(いわゆるフリーウェア)、そしてエンドユーザーからはライセンス料を徴収しないという方針を表明していたこともあって、一般ユーザーのレベルではそれほど大きな騒ぎにはなりませんでした。

 ところが、1996年ごろからUnisysはフリーウェアに対してもライセンス料の支払いを求めるようになってきます。これを受けて、あるソフトはGIFのサポートを断念し、あるソフトはシェアウェア化し、あるソフトは公開中止に追い込まれました。さらに、1999年の8月ごろ、Unisysはライセンス契約を結んでいないソフトウェアで作成されたGIF画像を使用しているWebサイト運営者から、特許使用料として一律5000ドルを徴収するという方針を発表しました。つまり、GIFは何らかの形でお金を出さない限り、使用できなくなってしまったのです。

 法律的に言えば、特許技術の利用者から特許料を取るのは当然ではあるんだけど、なんかスッキリしないよね。取るんだったら最初から取ればいいのにさ、インターネットで世界中に広がってから「実はあれはウチの特許です。使うなら特許料払ってください」なんて、いかにも商魂丸出しで、イヤな感じっ!

 ただ、勘違いしてはいけないのは、すべてのGIF画像が自由に使えなくなったというわけではない、ということです。どうも、このあたりを誤解して「GIFを使うと罰金を取られるらしい!どうしよう!」とパニックに陥っている人が多いようですが(そもそも「罰金」って言ってること自体、正確な情報が伝わってない証拠ですよね(^^;)、Unisysから正式なライセンスを受けたソフトで生成したGIF画像なら、何の気兼ねもなく使用することができます。おそらく、最近市販されているソフトでGIFを扱う分には問題ないのではないでしょうか。もちろん、万全を期すなら、それぞれのメーカーに問い合わせなければなりませんが・・・。

 また、GIF画像だけからでは、それが何のソフトで生成されたかを知るのは難しいですし、それを調べるにはUnisys側も時間と人件費を使わなくてはなりません。現在、Web上にいったいいくつのGIF画像があるのか知りませんが、とても調べきれるものでないのは明らかです。ですから、Unisysとしては確実にお金の取れそうなところ…いわゆる「ポータルサイト」のような大手サイトをターゲットにするものと思われます。実際、Unisysの主任特許顧問のMark Starr氏は"We're focusing on the larger Web sites and portals, which are using these technologies that are clearly unlicensed."(「私たちは、より大きなウェブサイトやポータル…明らかにライセンスを受けていないこれらの技術(LZW圧縮法を用いている技術)を使っているこうしたサイトに注目している」)と言っているので、いきなり個人のWebサイトに対してライセンス料の支払いを求めてくるような危険性は、現実には少ないと思います。実際、「CNET News.com」によれば、Unisysが方針変更した1999年夏から2000年の春までに、5000ドル支払い同意契約が成立したのはたったの1件だけということです(別に無断利用を推奨しているわけではありませんので念のため(^^;)。

 ただ、今のところは大丈夫そうとはいえ、いつまたUnisysが方針を変えてくるか分からないので、この問題については心の片隅に置いておいた方がいいと思います。また、企業の方の場合、一応、使っているソフトについてはチェックされておいたほうがいいでしょう。

 なお、こうした問題を回避するためにGIF形式の画像をすべてPNG形式にコンバートするというのは1つの有力な手段です。しかし、

…など問題もそこそこあるので、そのあたりを正しく理解した上で利用する必要があります。

(2003年6月21日追記)
 UNISYSが保有するLZW圧縮法に関する特許は、アメリカで2003年6月20日に、日本やヨーロッパ各国では翌2004年に次々と期限切れを迎えますが、「ZDNet News Japan」によれば、UNISYSはこの特許の延命策は取らない方針のようです。ここ数年ネットを騒がせてきたこの問題も、どうやらまもなく収束に向かいそうです。

(2004年7月9日追記)
 UNISYSが保有するLZW圧縮法に関する特許は、2003年6月20日にアメリカで、2004年6月18日にヨーロッパで、同6月20日には日本で次々と期限切れを迎えました。そして同7月7日には、出願が最も遅かったカナダでも期限切れとなり、同特許は完全に失効しました。これでようやく、GIFを完全に自由に使用することができるようになりました。


 ところで、最近になってフルカラー画像の標準形式として普及している「JPEG」についてもGIFと似たような特許問題が浮上してきています。

 権利を主張しているのはアメリカのForgent Networksという企業で、JPEGで用いられている画像圧縮アルゴリズムが同社の保有する米国特許No.4698672に抵触しているとし、2002年の7月になって、JPEGを扱うソフトを開発しているメーカーなどに対してライセンス料の支払いを求めてきました。そのため、GIFの騒動のときと同じように、JPEGを扱うフリーウェアがなくなってしまうのではないかという懸念があるのです。

 ただし、少なくとも日本国内について言えば、この件については安心してもよさそうです。というのも、同様の特許が日本においても出願されていたのですが、拒絶査定が出されているため日本国内では特許が成立していないのです。

 また、本家本元のアメリカにおいても、特許の有効性について疑義が出されるなど論争が続いており、予断を許さない状況です。


参考サイト

■ GIFの特許問題

■ JPEGの特許問題

注)
 「お約束」ではありますが…ここに書いてある内容にはHIROPONの個人的な考えも含まれています。GIFやJPEGを使う、使わないはあくまでも各個人の責任で判断してください。この点についてHIROPONはなんら保証をするものではありません。



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