紗夜香の星空喫茶
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 ここでは夜空を見るときに役立つ、ちょっとしたお話を紹介していくつもりです。これを知っていれば、田舎なんかに行って星を見るとき、お友達から感心されること、うけあいですよ。

 今回は、久しぶりに惑星の紹介の続き。太陽系最大の惑星、木星のお話です。


 ■ 22杯目 太陽になり損ねた星−木星−

木星 基礎データ

赤道半径:71492km(地球の約11倍)
質量:1.900×1027kg(地球の約318倍)
平均密度:1.33g/cm(地球の約25%)

平均表面温度:−121℃

反射能:0.52
平均極大等級:−2.7

自転周期:0.41354日
公転周期:4332.71日
軌道離心率:0.04850
軌道傾斜角:1.3032°
太陽までの平均距離:7億7833万km(地球の約5.2倍)

衛星数:63(2004年12月現在)

 木星は火星の外側を回っている、太陽系最大の惑星です。どのくらい大きいかというと、上にも書いてあるように半径は地球の約11倍、重さは地球の約318倍もあります。それどころか、全惑星を足し合わせても、木星の半分の重さにしかならないのです。

木星と地球の比較
Fig.1 木星と地球の比較
 同じ縮尺で木星と地球を描いてみました。まるで大人と子供ですね(^-^;

 こんなに大きい惑星ですので、太陽−地球間の距離の5倍以上もある遠い軌道を回っているにもかかわらず、見かけの大きさは金星に次いで大きく、明るさも衝のときに-2.3等と、太陽、月、金星に次いで全天で4番目の明るさを誇ります。木星の英語名「Jupiter」(ジュピター)はローマ神話の主神ユピテル(ギリシャ神話のゼウス)のことですが、そのどっしりとした黄金色の輝きは、まさに惑星の王者にふさわしいものといえるでしょう。

 「衝」というのは、惑星が地球から見て太陽の反対側に位置して、太陽−地球−惑星と並ぶときのことです。このときには惑星との距離が近づくので、惑星は大きく明るく見えることになります。

 さて、この木星を含め、火星の外側を回る4つの惑星(木星、土星、天王星、海王星)は、これまで見てきた水星、金星、火星などとは大きな違いがあります。

 水星、金星、火星はいずれも地球と似たり寄ったりの大きさ、重さで、密度も水の4〜5倍半程度と地球とよく似ています。また、地球のように硬い地面を持っていることや、衛星の数が少ないのも同じですね。そこで、これらの惑星を地球型惑星と呼んでいます。

 一方、木星を見てみると、上にも書いたように半径は地球の11倍、重さは318倍もありますが、密度は地球の4分の1しかなく、水と大差ありません。土星や天王星、海王星を見てみても、図体は大きいものの、密度はやはり水と同じくらいしかありません。また、衛星の数が多く、輪を持っているのも同じです。そして何より、これらの惑星は硬い地面がありません。ほとんど水素やヘリウムなどのガスからできているのです。そこで、これらの惑星は木星型惑星と呼ばれています。

 ちなみに、まだ紹介していない冥王星についてですが、昔は地球型惑星に分類されていましたが、近年その組成が地球などとはかなり違い、むしろ小惑星や彗星に近いと考えられるようになってきました。そのため、最近ではこうした分類に含めないことが多いようです。

 では、この「木星型惑星」の代表選手である木星の表面の様子はどうなっているのでしょうか?

 …と言いたいところですが、実は木星の「表面」のことはほとんど分かっていません。いや、そもそも、木星には「表面」と呼べるものがありません(^-^;。上にも書いたように、木星は水素やヘリウムなどのガスが寄り集まったものなので、地球のような地面は存在しないのです。私たちが木星の表面として見ているものは、実は木星のガスの最上部、メタンやアンモニアでできた雲の部分です。

 望遠鏡を使うと、その「雲」が赤道と平行な縞模様や、大小の渦を作っているのが見えます。これらの模様の中でもっとも有名なのは、木星の南半球に見える赤い大きな渦「大赤斑」です。この渦は、最大時には長さ4万km、幅1万kmにも達する巨大なもので、地球2、3個が丸々入ってしまうほどの大きさです。しかも、大きさも桁外れなら寿命も桁外れで、17世紀に観測が始まって以来、実に300年もの間、存在し続けているといわれています。

大赤斑 Fig.2 大赤斑
 アメリカの惑星探査機ガリレオが捉えた大赤斑の映像です。大赤斑が巨大な渦であることがよく分かります。

 この大赤斑をよく観察すると、9時間50分程度で木星を一周しているのが分かります。つまり、木星はわずか約10時間、すなわち地球の倍以上の猛スピードで自転しているのです。そのため、木星の赤道付近では強い遠心力がかかり、木星はつぶれた楕円形をしています。また、この猛烈な自転速度と、木星内部で発生している熱のために、木星の大気中では秒速180mにもおよぶ突風が吹き荒れています。

 ところでこの大赤斑の正体ですが、実はまだよく分かっていません。惑星探査機のデータから、木星内部からの上昇気流で持ち上がった大気が、木星の速い自転によって生じる力(コリオリの力)によって渦を作っているのだろうといわれていますが、なぜこれほど大規模な上昇気流が300年もの間、安定して存在しているのかは依然として謎のままです。

 一方、雲の下の世界については、あまり詳しいことは分かっていませんが、木星の中心部に向かうほどガスの密度は上がり、中心付近では水素やヘリウムは液体や固体になっていると考えられています。そしてその中心には、岩石や氷でできた、地球の10倍程度の重さを持った小さな核があるだろうといわれています。

 ところで、水素やヘリウムからできている天体というと、何か思い浮かびませんか?そう、太陽です。太陽などの恒星も水素やヘリウムからできているのでした。太陽の場合、自身の重力によって内部の圧力と温度が上昇して水素の核融合が起こり、そのエネルギーで輝いています。

 しかし木星の場合、材料は同じでも大きさが足りませんでした。そのため内部の温度と圧力が水素が核融合を起こすほどには上がらず、太陽のように輝き始めることはなかったのです(それでも、中心部の温度は2万度、圧力は1000万気圧はあると推定されています)。そのため、よく「太陽になり損ねた星」という紹介をされることもあります。

 しかし研究によれば、恒星として輝き始めるためには今の50〜100倍もの質量が必要といわれていますので、太陽系内の物質量を考えると、某SF映画みたいに木星が第2の太陽になるのはどのみち難しかったかもしれませんね(^-^;


 さて、この巨大な惑星・木星で有名なものといえば、大赤斑のほかに「ガリレオの4大衛星」があります。これはルネッサンス期のイタリアの天文学者ガリレオ=ガリレイが、木星を望遠鏡で観測していて発見した4つの明るい衛星です。

 ガリレオが、この衛星の動きを観察して地動説に確信を持った、というのは有名な話なので、ご存知の方も多いことでしょう。

 この4つの衛星、巨大な木星の衛星にふさわしく、衛星としては非常に大きいものです。中でも第3衛星のガニメデは、太陽系のあらゆる衛星の中で最大の大きさを誇っています。ちなみに第4衛星のカリストは太陽系内で第3位、第1衛星のイオが第4位、そして第2衛星のエウロパが第6位の大きさとなっています。

ガリレオの4大衛星
Fig.3 ガリレオの4大衛星
 同じ縮尺でガリレオの4大衛星と地球の月、そして水星と火星を描いてみました。ガニメデは惑星である水星すら上回るほどの大きさです。

Table 衛星の大きさトップ10
順位名称(所属する惑星)半径(km)
1ガニメデ(木星)2631
2ティタン(土星)2575
3カリスト(木星)2400
4イオ(木星)1815
5月(地球)1738
6エウロパ(木星)1569
7トリトン(海王星)1350
8ティタニア(天王星)790
9レア(土星)764
10オベロン(天王星)760

 そして、これらの4大衛星は大きいだけでなく、それぞれが非常に個性的です。イオには活火山があり、エウロパには地下に液体の海があって、もしかしたら生命が存在するかもしれないといわれています。ガニメデは上にも書いたように太陽系最大の衛星ですし、これまで特に目立った話題のなかったカリストも、最近の研究ではエウロパと同じように、液体の海があるのではないかといわれています。

 NASAは、2015年以降にこれらの衛星に向けて探査機「Jupiter Icy Moons Orbiter」を打ち上げる計画を立てています。このミッションで、木星の衛星についてまた何か新しいことが分かるかもしれません。今から結果が楽しみですね(^-^)

 …というわけで、今月はここまで。また来月お会いしましょう♪

※本ページ中の惑星及び衛星の図はChris Laurel氏作のフリーウェア「Celestia Ver.1.2.4」を用いて作成しました。



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